Roots MMJ創業時からの歩み

 
これから牛乳の需給関係は秋を迎え安定期に入りますが、生産者乳価の地域格差は依然として大きく、 今後安定期から不需要期に入りますとさらに牛乳生産県では乳価の値下がりが心配されるころと思います。
 

今年の生産者乳価はまだ決定されないといいますが、すでに年度半期が過ぎようとしています。
長年安定していた牛乳の世界ですが、最大手の雪印事件に始まり、全国8ブロック化の中で大きな転機を迎えているようです。
牛乳生産については9月中旬以降暑さも和らぎ各地生産乳量も回復してきていますが、全国的に激しいシェア争いがあり、値上がり傾向にあります。
 
このホームページを開設して以来、各地で指定団体制度(行政が指定した各都道府県1指定団体)や牛乳出荷のアウトサイダーについて多くのことが議論されていることと思います。
自分の経営基盤の足元を見直すこと、通常、経営上最も感心を持たなければならない販売単価に目を向けることを酪農家の方はしておりません。それで良いのでしょうか?
良いはずはないのですが、そのことはタブー視されているといってもいいでしょう。
何時からそうなったのでしょうか?
今から40年ほど前、急速な需要拡大から生産者乳価もうなぎ登りに上がり酪農家の事業拡大意欲も盛んだったころです。
酪農組合は各地に創設され、それぞれ特色ある事業展開をしていました。
その後、止まらない酪農家の生産規模拡大に対して、需要が増大から減少へ反転します。
大幅な余剰乳の発生を期に乳価の下落を経験し、酪農組合の整理統合も行われました。
酪農という当時としても資本投下の大きな業種はランニングコストが高くつきます。
乳価の乱高下、貯蔵の困難な原乳が余るという事が経営を圧迫し、現在行われている無条件委託販売の牛乳再販制度、指定団体出荷を始めるきっかけになっています。
 
今と比べれば農家の経営基盤は小さく、交通インフラ、輸送技術、通信手段は脆弱でした。
そうした中においては最善の方法であったと思います。
現在、交通インフラはもういらないとまで言われるほど整備され、高速輸送網が行き届いています。
通信手段もIT、携帯電話の出現で革命的な速さとネットワークの拡大を実現しています。
酪農界でもメガファームが各地に生まれ飼養規模は大きくなり、個体乳量は格段に増えました。
生産技術の進歩は目覚ましいものがあります。
 
ところが販売はどうでしょう、価格はいったい誰が決めているのでしょうか。
生産物を売るということは技術とコストを積み上げた「物がお金になる瞬間」です。
最も大切にしなければならない緊張の一瞬のはずです。そこで得たお金が生活の糧となり、経営の血となり肉となります。
販売方法、価格決定方法も改革されていい時期を迎えているのです。
ある著名な畜産経営者のことばに、「自分の生産物に価格を付けられないような経営に未来はない」という名言があります。
今、酪農家に最も求められている意識ではないでしょうか。