Roots MMJ創業時からの歩み

 
この奨励金(夏季乳価設定地区)に、増産分に対し 9.8円の奨励金給付)に期待を掛ける農家は多く、ひとによっては単純に約10円、乳価があがると思っている方さえいます。
農水省では脱脂粉乳の在庫が蓄積してこれ以上の増産は大変な事態を招くと言っていながら、さらに増産をあおるような補助金を支給する政策。
需給関係の改善に役立つとは思えないのですが。
 
需給関係といえば、今年の11月より実施される糞尿処理問題でどのくらいの農家が酪農をやめるのか、という不確定要素があります。
人の意見によっては、1割だろうとか2割はいくんじゃないの、とか話されますが、実際の全国飼養頭数の減少はほとんど無いのではないでしょうか。
もし11月をもって廃業する農家が1割~2割いるのでしたら、北海道の初任牛が60万円から70万円という最高値を維持しているという現実はどう説明されるのでしょう。
北海道では乳価、スモール市場の安定、初任牛、経産牛の高値で空前の酪農バブルとまで云われています。
補助金給付はありがたい、でも単純には喜べない時期なのです。この反動、しっぺ返しを受けるのはいつも生産地域(移出の多いい都道府県)だけなのですから。
生産調整、ペナルティー発動前の「飴」と見るのは深読みしすぎでしょうか。

農家紹介 有限会社わよし農場

写真の奥さんと2年前に結婚。
酪農業界では高齢化や、嫁さんがもらえないと嘆く後継者の声も聞かれる中にあって着実に自分の家庭、酪農経営を築いています。
ここ数年で40頭搾乳からフリーバーン120頭搾乳に規模拡大。
さらに近い将来200頭搾乳まで拡大の計画をしています。
前記の9.8円/kgの補助金が発動されればその恩恵に授かれるでしょう。

社長の北爪良和君は東京農大を平成4年に卒業してから酪農協のヘルパーになり、その後家業の酪農を継ぎました。
実際に酪農を自分の手で始めてから7 年、学生時代よりあたためていた大型酪農への夢を着実に築いているようです。
就農当時、まさかアウトサイダー酪農を自分でしようとは思わなかったでしょうけど。
奥さんの由美子さんとは3年の交際を経ての結婚。
株MMJの兄弟会社、株ラクテックスを群馬の農家4軒ともに設立したのはその直前です。
ほとんど同時進行でした。
 
当時、新しい牛舎は作ったばかりで由美子さんとの結婚も迫る中、なぜアウトなんかにと近隣の酪農仲間に心配されました。
本人によると、卒業したときより自立した酪農経営を夢見ていた。
より「農家的、組合的」酪農から脱皮した企業酪農をしてみたかったという。
家業を継いで酪農組合に入ってみたが、この夢の実現とは程遠い酪農界の現実があった。
県の乳販の紹介で、消費者の団体バスの見学訪問を受けたとき、見学者数名の夫人から「お宅の牛乳が飲みたい」と言われた。
当時はインサイダーで牛乳を直接売ってはいけないと言われていたから、即座に「売ることはできません」と断った。
その時「飲みたい」と言ってくれるのになぜ売ることができないのだろう?と自問自答したが答えは出せなかった。
組合の若手仲間にそんな話をすると「危険思想」扱いされ、もっと牛を真剣に飼えといわれる。
若手仲間といってもほとんどが目上で、先輩だった。
共進会や血統の話はよくされ、ためになり、楽しくもあったが、生産物の販売という点ではしっくりいかないものを感じていた。
この団体バスの1件が、酪農集団に疑問を持ち始めたきっかけであったという。
 
昨年(平成15年)、法人化し有限会社わよし農場とした。
従業員4名で運営し、牛群も落ち着きを見せてきたところです。
北爪良和君は34才、私は近隣ということもあって何か相談や頼みごとがあって行く事があるが、断られたことがほとんど無い。
なかなか積極的な面があり経営者としての素質はあると思う、これからがさらに楽しみなわよし牧場です。