(竹村牧場全体写真)
(自動化が進んでいる明るく広々とした牛舎内)
北海道の八雲町に所在する「竹村牧場」。
現在飼養総頭数は1000頭、年間生産量が5000t超のメガファームです。
日本で唯一日本海と太平洋の両方に面している、海岸沿いの美しい町です。
竹村牧場の牛たちから搾られた生乳はMMJの契約乳業で練乳に加工され、お菓子などのおいしさを引き立てます。
生乳は牛乳だけでなく、いろいろな姿に変化し食全体を豊かに支えてくれています。
家業である酪農に携わり、1995年にフリーストールへ変更、2001年には法人化と、現在に至るまで着々と事業を拡大しています。
2020年6月から搾乳ロボットの稼働を開始、2022年4月には更に台数を増やし、現在8台が稼働中です。
事業拡大と合わせ、労働力の軽減、品質へのアプローチを行いより良い生産へ向けた取り組みをされています。
<牧場インタビュー>竹村牧場 取締役 竹村容章さん
何事にもブレない、がモットーです。品質はもちろん、経営していく上で大切なことも一貫して変わりません。
何より品質が第一です。乳質や乳量に変化があるとき、些細な変化であっても必ずどこかに原因があります。
変化をキャッチしたらやみくもに対処しようとせず、まずは検査をして数値から最善な対策を導きだします。
早い段階で軌道修正することでブレ幅を最小限に止め、常に安定した品質の生乳生産を心がけています。
(品質への想いを語ってくれました)
◎牧場を運営する上で一番大切なのは“飼料”
牧場の経営者によって、どこに重点を置くかは様々だと思います。
竹村牧場では飼料に重点を置いています。なぜなら、牛は飼料を食べて体を作り、お乳を出します。良い飼料を食べ、良い体を作ることではじめて良い生乳の生産が出来ると思っているからです。
搾乳牛はもちろん、将来の搾乳牛である子牛たちの健康な体作りにも品質の良い飼料は欠かせません。
バイオマス発電もやっていますが、やはり飼料が良く健康な牛の糞の方が発電効率も良い。
飼料からはじまり、牛、生乳、糞とすべては繋がっている。牧場を経営する上で一貫して、良い飼料が牧場全体をうまく回している手ごたえがあります。
竹村牧場は牧場で使う粗飼料の生産もしています。飼料でも大切なのは、品質がブレないこと。
品質が保障された購入飼料とは違い、自給飼料の品質は生産者次第。
状態の良い牧草を適期に収穫すること、その牧草を丁寧に仕込むこと、ロットごとに品質を検査し、合格したものだけを使用すること。基本的なところを大切に、丁寧な飼料作りを心がけています。
「乳質が安定している=飼料の品質が安定している」ということです。乳質のブレが少ないのは飼料作りがきちっと出来ている証拠だなと思っています。
品質が良い飼料であることを前提に、牛たちにとって適切なメニューであることも重要ですよね。
飼料の専門家である飼料屋さんに適切なメニューを考案してもらっています。乳質のブレを減らすために検査結果を元に微調整を行っていますが、必ず自分でもメニュー内容を確認し、理解をした上で実行しています。
(夢中で食べて散らかってしまった飼料は奥にある赤色の自動餌寄せ機が牛の前に戻してくれます)
(広く青々として気持ちのいい飼料用とうもろこし、デントコーン畑。牛たちのごちそうになります)
(タイヤとビニールシートの下には丁寧に仕込まれた飼料が眠っています)
◎搾乳ロボットの導入
現在では8台の搾乳ロボットが稼働しており、ほとんどの牛の搾乳が自動化されています。
労働力削減の為にロボットを導入しましたが、一頭一頭の健康管理がしやすい点でも助かっています。
ただ、搾乳ロボットに合わせた飼料を牛に与えなければならないため、そこが今までとは違う難しさを感じている点ですね。
自動化されているからこそ数値が見えますし、微調整も出来ます。より搾乳システムを活用していきたいです。
◎MMJに出荷して
MMJへの初出荷は2016年9月3日。やはり、一番変わったのは収入面です。
現在の規模の事業拡大へ踏み切ったのも、MMJへ出荷をするようになってからのことです。
生乳販売は酪農家の収入の多くを占めます。そして、生産量が増えればその分我々生産者に還元されます。
出荷先を選択出来るのも経営判断の一つだと思っています。
◎今後の展望について
2022年7月現在、酪農業界は非常に厳しい情勢に置かれています。
日本では牛乳や乳製品の消費量を上回る生乳が生産されています。
更に飼料費や燃料費などの生産に掛かる経費が今までにないないほど高騰しており、世間と同じく物価高騰のあおりを受けているのは酪農業界も例外ではありません。
この厳しい情勢の中で生乳を売り抜くためには良い乳質であることが最低条件。
最終的には数ある牧場の中から竹村牧場だからと選んでもらえるように。
これからも安定した品質の、おいしい生乳の生産を続けていきます。
昔から今までずっと、良いものをお届けしたいという気持ちはブレません。
(赤い牛舎がトレードマーク)
(竹村さん、ありがとうございました!)
(取材:2022年7月)