Roots MMJ創業時からの歩み

 
満額回答…ではあるがすっきりしない中途半端な結果に終わった。


 
当初の回答指定日である7月31日から引き延ばされてきた乳価交渉が遂に決着し、関東生乳販連が飲用乳価を10円値上げすると発表した。
10円の値上げは要求の満額ではあるが、改定は来年3月であり、単月だけの値上げである。
中期改定の目標が末期となったわけだが、この決着がひとまずの光明となり、雰囲気は明るくなったように思う。

一方、MMJでは指定団体より一足早く乳価交渉をすすめ、取引乳業に対し6円~8円の値上げで合意を得た。
指定団体の乳価交渉が難航していた8月から交渉を開始し、10月上旬にはほとんどの乳業で額面通りの値上げを了承していただいた。
しかし、指定団体の値上げが決まらない中で、アウトサイダーであるMMJが値上げを要求するのは大変厳しい環境であった。
「団体が値上げしてないのになぜ先に上げるのか?」
「なぜこの時期に値上げするのか?」
という疑問が当然噴出した。強い難色を示す乳業もあった。
苦労しながらも、それらの理由を理解していただいたのである。
独占禁止法があるなかで、指定団体ができる「交渉」は限られる。
それに引き換え全国シェアという面ではまだまだ少量のアウトサイダーであるMMJは自由な交渉手段、自由な時期選定ができる。
指定団体に先んじて10月、11月の値上げを実現させたことで、低い乳価に不満を持つ酪農家に交渉の希望が生まれた。
新たに団体を脱退し、MMJやラクテックスに加盟する大型農家も現れた。

関東生乳販連が価格交渉に真剣に取り組むようになったのが9月になってからである。
各地の自主的なデモや、大型農家のアウトへの脱退者、内部でも発生する反体制分子。
状況が混乱する中でようやくついた今回の決着を、酪農家、中小乳業はどう受け止めているのだろうか。
ある乳業の生乳担当者の言葉を思い出す。
“全国的に上げていただくのであれば、我々はいくらでもかまわない、大手乳業がなぜ値上げを拒むのか、わからない―――――”
 
なんともお粗末な結果ではあるが、それでも満額回答に変わりはない。
関東で、そして全国でやったデモ行進は無駄ではなかった。
酪農家が自ら動き、主張した数々の運動。それらに参加した人々の熱い思いに、酪農の新しい時代を予感したのは私だけではあるまい。