Roots MMJ創業時からの歩み

 
半世紀にわたり酪農と乳業を支配してきた加工原料乳補給金制度が、根底から変えられる。
内閣府の規制改革会議が加工乳補填金の農家への直接支払いを提言したことで、全国の経済新聞や業界紙を賑わしている。
JAをはじめとする酪農指定団体が組織として「需給調整能力、価格交渉能力が機能していない」とされ、指定団体の「指定」の文言が無くなる事を意味する。
これは同時に一元集荷が無くなる事であり、自由に誰でも生乳の販売先を選定できる事になる。

生乳販売にかかる手数料や加工比率、販売先に至るまで農家に選択権はなかった。
農家は減産型生産調整になれば一方的に数量を決められ、全く補償のないまま生産実績枠外の生乳は廃棄を迫られた。
これからはこうした事が一切無くなる。
指定団体の顔色を伺う事なく産地指定や農家指定の「生産者の牛乳」を売り出す事ができる。
農家は複数の乳業や問屋に出荷する事が可能になり、価格交渉を独自に行えるようになる。
大きく飛躍するチャンスが酪農に訪れた。
TPPを控えた今、農家に大きな選択肢が生まれたのである。
補給金制度を利用して巨大化した酪農補助金組織は解体され直接支払いになる。
長年酪農世界に差別的用語としてあったインサイダーとアウトサイダーという言葉が無くなる。
今年は日本の酪農業界にとって歴史的変革の年である。
MMJの創設は2002年で、14年目になる。
創業より一貫して生乳の自主販売(アウトサイダー)を支援してきたが、ようやく業界の大きな変革期を迎える事ができた。
契約農家は北海道から四国まで広域に散在し、生産量は年間7万トンを超え、全国の生産量の1%、飲用だけをとらえると3%になる。
今回、すべての酪農団体、個別経営体に加工乳補填金が支給されると自主販売の酪農団体も対象になる。
MMJではすでにバターやクリームのオファーがあり、具体的に生産体制を構築していく予定だ。
TPPまでの5年間で日本の酪農は生まれ変わる。
生まれ変れなければ日本の酪農に未来はない。
国内自給率だけを旗印に計画生産に邁進してきた酪農の時代は終わろうとしている。
 
 
平成28年4月11日  ㈱MMJ代表取締役 茂木修一