Roots MMJ創業時からの歩み

いよいよ始まった北海道支部開設に向けて
十勝牛乳販売開始、2軒目、川井牧場がMMJ加入


弊社MMJでは新しい年を迎え、1月22日に新年会を本社のある伊勢崎市内で行った。
参加していただいた方々は北海道、東北、関東、北陸、近畿、大阪、中部、四国、九州とほぼ全国から集まっていただけた。
会社の規模の増加とともに広範囲の酪農、乳業の方に関心を持っていただき、社名、Milk Market Japanを創業12年目にして体現できた感がある。

北海道、十勝の田口畜産は順調に出荷されていて、2月からは田口畜産の生乳が『十勝牛乳』として関西地区を中心に販売開始となった。
 


 
今まで北海道の牛乳はホクレン丸によって生乳の状態で各地の乳業に供給されたり、北海道の各乳業で製品化され、産直パックとなって各地に販売されてきた。
それらの数量管理は基本的にホクレンによって行われている。
この『十勝牛乳』販売により、農家から直接各地の乳業に生乳が供給され、数量、価格ともに「自由」という、今までに無い状況が創られることになる。
 
さらに、この『十勝牛乳』販売に合わせ、北海道で2軒目となる(有)川井牧場がMMJに加入することになった。
川井牧場は平成12年創業、平成14年に法人登記している。
法人化のあと、規模拡大をはかり生産量は当時3600t/年までなったが、平成18年の生産調整をまともに受けてしまう。
川井牧場にとっては計画通りの増産であったが組合から生産枠を認められることは無く、一方的な生産枠の押し付けにより、大量の生乳が集乳されないまま廃棄されることになった。
この時の経営上のダメージは大きく、また、組合に対する信頼を失ったことから当時減産したままの2000t/年で今まで推移してきたという。
MMJに出荷をシフトし、ホクレンを離脱した今、当面3000t/年を目指し早速増頭するという。頑張っていただきたい。

MMJへの出荷では「生産調整」という心配は無い。
全量でも部分でも契約予定数量を提示していただければそれに沿った販売を展開していく。
委託販売ではなく庭先販売なので生産枠、という概念そのものが無いのだ。
この点も川井牧場社長の川井教史(かわいのりひと)氏には気に入ってもらえたようだ。
北海道の生産者乳価は安い。手取り80円ちょっとである。
内地である関東、関西や四国では県にもよるが100円から110円/kgする。この差は大きすぎる。
川井牧場は2月2日早朝、無事にMMJへの初出荷を行った。
 

初出荷の集乳ポンプスイッチを押す川井氏

 

牧場の皆さん。後列左はMMJ副社長の井上

 
平成26年4月1日、北海道で初めて田口畜産がMMJに出荷を開始してから約5か月間、JA、ホクレンは全く田口畜産にアクションがなかった。
ところが、同年9月25日に新聞報道されたことにより沈黙は破られた。
北海道の中の主だった酪農家に対し、MMJの販売や輸送体系、検査体制などを疑うような言動とともにJAに留まるよう職員が説得に廻っているという。
このためにMMJには問い合わせの電話が報道関係や農家からきている。
基本的にMMJの販売や輸送体系が農家に支払われる乳代に影響することはない。
大変失礼な話しであり、繰り返しにもなるが、委託販売に慣れきった酪農家や職員は、生乳の販売=委託販売という図式から頭の切り替えが中々出来ないのではないか?とさえ思えてしまう。
一定の(抗生剤等の検査)検査を済んだ生乳は乳業メーカーの受入基準をクリアする品質であれば取引は集乳と同時に終了する。
これが庭先販売である。
買い取ったMMJが飲用牛乳で売っても、加工乳製品にしても、販売した農家の契約乳価に影響することはない。
検査は販売先の乳業メーカーの受入検査の他、MMJの事務所に隣接した検査室でも行っている。
 

MMJ検査室での検査

 
さらに公正という観点から、農家の方には所属していた近隣の酪農協などに検査だけ依頼するよう薦めている。
「えっ?」と思われるかもしれない。
指定生産者団体は、検査や集送乳施設等に関し、アウトサイダーの農家の利用を拒んではならないのだ。
(※但し、農家が農協の組合員であり、且つ当該施設・設備がその農協の所有である場合に限る)
このことは、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法 第3章 第10条 2項三に明記してある。
以下はその条文である。

加工原料乳生産者補給金等暫定措置法

(指定の解除)
第十条  都道府県知事又は農林水産大臣は、指定生乳生産者団体が次の各号のいずれかに該当するときは、政令で定めるところにより、第五条の指定を解除しなければならない。
一  第七条第二号から第六号までの要件の全部又は一部に適合しなくなつたとき。
二  総会の議決を経て第五条の指定の解除の申出があつたとき。

2  都道府県知事又は農林水産大臣は、指定生乳生産者団体が次の各号のいずれかに該当するときは、政令で定めるところにより、第五条の指定を解除することができる。
一  第七条第一号の要件に適合しなくなつたとき。
二  受託規程に違反して生乳受託販売の事業又は生産者補給金の交付の業務を行つたとき。
三  正当な理由がないのにその構成員以外の者にその生乳受託販売の事業に係る施設の利用を拒んだとき。

3  第八条の規定は、前二項の規定による指定の解除について準用する。

全文はこちらで見ることができる。(外部サイトへ飛びます)
暫定措置法といっても施行後すでに40年以上経つ。
酪農家に安定的な乳価を獲得できるよう、また安心して酪農を営み、安定供給できるよう作られた法律であるが、 いつの間にか組織の維持、組合の維持と一部優位な立場の乳業が独占的に力を行使する「道具」に使われているように思えてならない。
酪農を営んでいてもこの不足払い制度の法律全文を読み理解している方は少ないと思う。
農家がインサイダーで酪農を営む上で根幹となる制度であることは間違いない。
特にこれから酪農をこころざし、専業でやっていこうと考えている方には読んでいただきたい。
(平成27年2月2日 (株)MMJ代表取締役 茂木修一 ※3に続く)
 
 
追記(2015年4月2日)

北海道巡業中に、道東の酪農家の方から下記のような書類を見せていただいた。
誓約書
営農計画書に関する確認書
 
組合に対する誓約書および営農計画に関する確認書である。
このような誓約書は、十勝や富良野地域では廃止されているとの事だが、道東地方では現在も全組合員が強制的に書かされるものだという。
酪農家の方には、これは決して強制ではなく、提出を拒否できることをお伝えしたい。
拒否したからといって、組合側は農家に対し組勘の利用中止等はできない。
署名すると、自由な販売や飼料等の購買をしようとするとき大きな障害となってしまう。
酪農家の方で、これに関し不明な点があればMMJに問い合わせていただきたいと思います。(2015年5月22日追記)
 
 
道東の組勘契約書の改正について追記(2017年4月24日)

今年の1月、上記の書類および、組勘の契約書が改正された。→改正後契約書
第4条について、”組合の販売事業の全利用が融資の条件となっているという誤解を招きかねない”として、 中央会の指導に基づき削除されたことが組合員に通知された。
政府の規制改革方針では酪農家が自由に販売先を選択できることが示されたが、 実態は様々な懸念から躊躇してしまう酪農家も多い。
契約上、販売先の選択が組合事業の利用にあたり足かせとならないことが明文化されたことは大きな一歩である。