2021年4月1日より岩泉グループに工藤牧場が出荷を開始しました。
(写真:右から3番目が経営者の工藤さん。初出荷は春の穏やかな気候に恵まれ快晴でした。)
岩泉グループは岩手県の東部に位置する岩泉町の酪農家グループです。
町内には有名な日本三大鍾乳洞のひとつ龍泉洞があり、きれいでおいしい水に恵まれた美しい山あいの町です。
岩泉では海底から隆起したといわれる石灰岩大地の湧水をたっぷり飲んだ牛たちからおいしい生乳を絞っています。
工藤牧場経営者の工藤淳平さんは中学生の頃、父と行った共進会の影響で牛が好きになり、酪農家を志したそうです。
高校在学中は北海道の牧場へインターンシップに行き、卒業後は小岩井農場、岩泉町農業振興公社での勤務を経て、平成28年1月1日より現在経営する牧場を地元の酪農家から譲ってもらい、新規就農しました。
岩泉グループはMMJにとって、群馬県外で初となった契約農家で2003年から出荷が始まり、長いお付き合いをさせて頂いています。
グループの酪農家の多くは岩泉町伝統の木造つなぎの牛舎で、一頭一頭丁寧に生乳を絞っています。
工藤さんはグループのリーダーである佐々木さんにMMJへの出荷を誘われたことや牛サルモネラ感染症により経営が苦しくなった際に、自身の酪農経営について考えるようになったそうです。
酪農家のほとんどは、牧場で絞った生乳をMMJのような卸や指定団体(JA)に生乳を出荷することで生乳販売代金を受け取り、収入を得ています。
生乳の販売は収入の多くを占めますが、要因は様々です。有利な出荷先の選択もそのひとつです。
平成30年には加工原料乳補給金制度が50年ぶりに改正され、酪農家が自由に生乳の出荷先を選択出来る後押しとなりました。
工藤さんもまた、自身で出荷先を「選択」した一人の酪農家です。
そしてこの度、MMJと指定団体の2カ所への出荷を選択しました。なんと岩手県酪農の長い歴史上、初の2か所出荷になります。
アウトサイダー(MMJなどの自主流通)やインサイダー(指定団体系統)という括りに縛られず、酪農家は自身の経営の為に出荷先や出荷形態を選択できるということを、工藤さんは先陣を切って示してくれました。
今後はもっと酪農が魅力的な職業であることを伝えていきたいという意気込みを見せてくれた工藤さん。
岩手県酪農業の新しいロールモデルとして、今後のご活躍を期待しております。
(取材 新海)