学乳(学校給食向け牛乳)に供される予定だった生乳が学校閉鎖と同時に脱脂粉乳とバター向け加工乳に廻されている事は前述のコラム「報道はなぜ・・(2)」で記させて頂いた。
新型コロナウイルスのパンデミックの中でも人口動態は動いていない。
日本の場合、緊急事態宣言で消費者の動きが大きく変わった。しかし、なぜ牛乳が余って脱脂粉乳やバターになってしまうのか。しかも在庫過多になった脱脂粉乳の保管料を国が補填すると言う。その脱脂粉乳を数ヶ月かけ子牛の餌に混ぜ給与するという。
元々学乳の原料となる生乳は「学乳向け」と称され、学校給食補助金(注1)の交付を受けながらも生乳の中で最も高い単価で仕切られている。
平成15年、全国10の広域指定団体に業務が移されたが学校給食の利権は今も各都道府県の乳販連など大半はJAと一体の団体に帰属されている。北海道ではホクレンであり、弊社の所在する群馬県では群馬県乳販連になる。
国の補給金で最も高い単価で仕切られることになった「学乳向け生乳」が加工原料に向けられ、脱脂粉乳になり、更に子牛の餌になる・・・。何かおかしくないか?
一方で国の人口動態は前述のようにほとんど変化していないわけで、子供達は家庭で牛乳を飲んでいる。飲む場所が学校から家庭に代わった。
事実、一般向けお手頃価格の市乳の消費は伸びている。これへの生乳供給が逼迫してしまった。
J milkデータ
https://www.j-milk.jp/gyokai/sri/berohe0000002ry2.html
中小乳業への配乳が不足すれば、消費者はスーパーの上段に並ぶ高い単価メーカーの牛乳を買わなければならない。コロナで生活不安がある中で牛乳まで?
報道では余っているはずでは?
今回、学校給食乳に農水大臣は即座に対応した。
だが、その判断の中に子供達が見えていただろうか?
学乳向け生乳は、全国の95%以上を仕切る指定団体の独占市場だ。学乳に限っていえば100%だろう。
学校給食向けの生乳を自由に流通させれば今回のような問題、北海道の加工乳製品工場に生乳が押し寄せ余る、一方で関東や関西の都市部のスーパーでは一般向け市乳が不足するような事は起こらなかった。