• 酪農と乳業をむすぶ生乳売買プラットホーム

足寄 三津橋牧場が出荷開始


秋の深まりつつある 10月4日 足寄町の三津橋牧場が静かに動き始めた。

幕別町の(有)田口畜産・帯広市川西の(有)川井牧場に続いて、十勝地方3軒目の出荷開始となった。
経営主の三津橋菊郎さんは、63歳と云う年齢を感じさせない北海道人らしい穏やかでゆったりした人物である。
成牛120頭 育成牛50頭 従業員4名を抱え足寄の丘陵地に居を構えている。
 

左からMMJ井上、田口畜産田口社長、三津橋さんご夫妻

 
三津橋牧場は、規模拡大しながら徐々に経営を発展させてきた。
畑を増やし、牛舎を増築し、牛を飼い増して、北海道酪農の道を邁進してきた。
従業員教育に情熱を注ぎ、牛群の健康管理に腐心し、経営の充実を図ってきた。
しかし、生乳計画生産や乳価低迷の中、地区の仲間達もひとり抜けふたり抜けと離農が進み、今では地区で酪農家は2戸のみとなってしまった。

生産量には浮き沈みがある。酪農は何時の間にか一度背負った負の資産を埋めるのには大変なエネルギーが必要な下請け的低位安定産業となってしまった。
離農していった仲間達も、将来の夢を描けなくなったがため、致し方なく…。

三津橋さんは言う、酪農経営を支える柱は「土・草・牛」であるのは誰もが認める「正論」である。
しかし、その上に経営主は生産物である生乳を、高品質な状態で、輸送体制に適合した荷姿で準備し、如何に高く売るかを考えなくてはならない。

以前から、農協組織に対し違和感を抱いていた。
乳価90円前後から引かれる10円の経費は高すぎる。コスト意識が欠如していると感じた。
農協が本来果たすべき本質的な使命と、現実は大きく剥離している。
地域の農協と何度も話し合い、思い悩む日々が続いた。

組織が頼りにならないのであれば、自己責任で改善していく道を選んだ。
生産者の自由な選択により多様性が生まれ、競争原理の導入は組織改革のきっかけとなる。

農産物は従来、組織的計画経済の下で生産され販売されてきた。
物流が改革・合理化される中、野菜や米や豚肉はどう変化したか、「牛乳だって例外ではない」と思う。
TPP協議も妥結され動き始めようとしている。
自由化の波を迎えた今、補助金付き体質から脱却し、それぞれが決断しなければ、日本農業の発展は望めないのではないか?
三津橋牧場の選択は、今後誰もが直面する問題の中での選択肢のひとつであると思う。

(平成27年10月 MMJ副社長 井上信行)