• 酪農と乳業をむすぶ生乳売買プラットホーム

生乳の指定団体、関東生乳販売農業協同組合連合会(以下関東生乳販)の加盟酪農組合(群馬県)の組合員が長年に渡り、出荷する生乳に加水していると通報された。昨年の事である。その中には、当該組合の組合長も含まれていた。

この組合は主に明治乳業の指定工場(注1)に出荷している。

群馬県では、それまで5ヶ所あったCS(生乳の集荷場所、クーラーステーション)を1ヶ所に統合する計画で昨年は吾妻のCSを除く4ヶ所全てを中央クーラーステーションに統合した。

酪農組合では通常、月3回の検査日を設け、栃木にある関東一円の生乳サンプルを検査する機関(関東生乳販売農業協同組合連合会 生乳検査所)に送り、関東生乳販の基準で検査(注2)し各都府県の酪農団体に結果を送付する。

当該組合員はこの3回の検査日を把握していたという。

比重計を浮かべて見ながら水を入れていた農家もあった。

 

中には1tの生乳に600ℓもの水を混ぜていた農家もあるという。ローリーで混ざれば、クーラーステーションで混ざれば、と考えたのか。

昨年(2019年1月)、当該組合員所属酪農協の関係者(注3)による内部告発を受け、業界紙に掲載(酪農乳業速報8月3日号p5)のように「指導」に行ったが「うちだけじゃないみんなやってる、だいたいこんな安い乳価でやってられるか」と開き直ったそうである(群馬県の乳価は関東でも一番安い)。

これを受け、関東一円調査することになった。基準は浸透圧276m Oms/kgと自主規定はあるが、これを下回ってもペナルティーの規定がなかった。

昨年末、調査の結果が出た。茨城を除く群馬、埼玉、東京、神奈川、静岡、千葉、栃木、山梨と1都7県に基準に満たない、加水が疑われる数値が確認された。

当該組合員の「うちだけじゃない、みんなやってる」は正しかった。

私が群馬県、埼玉県の酪農家に聞いたところでは群馬県乳販連 45件、埼玉県 15件(注4)である(両県とも全農家軒数の1割に当たる)。他は件数まで判らない。数字を公表していない。

関係者の内部告発で徐々に表面化してきた今回の事件だが、私が知ったのは今年の4月下旬、一年以上経ってからだ。

 

告発先は農水省とJ-milk(注5)と聞いている。弊社では今年の5月末、農水省は何か把握していないのか?と問い合わせてみたが、一度目の電話では「把握していないので確認する」と言われ、連絡がないのでもう一度連絡すると「担当者不在で分からない、明日電話する」という事だったが、返事の電話は来なかった。

JAを中心とする酪農組合と官僚が一体となっている。なんとも呆れた隠蔽体質だ。

 

事件の発端が群馬だけに気にしている酪農家は多いい。ほとんどの農家はまじめに酪農を営み、加水など間違ってもしない。良い乳質の生乳を生産することに誇りを持っている。製品となった牛乳や乳製品で喜んでもらえることに、何より生きがいを感じ、辛い仕事もいとわず頑張っている。

こうしたまともな農家の努力が評価され、報われる業界でなければ将来は無いと思う。

 

市販の牛乳は酪農家の生乳から乳業工場を経て販売されている。小売段階では容積(リッターまたはCC)表示になるが、酪農家が販売するときは重さ(比重1.032 ✖️ 容積L)で取引されている。

世界的な標準は「成分売買」と言って生乳中の水分を除いた乳成分量で取引されている。

成分取引ではこの様な事件は起きない。

 

株式会社MMJ 代表取締役社長 茂木修一

 

(注1) https://www.meiji.co.jp/corporate/group/105_kanraku.html

(注2)加水がされているか否かの検査は生乳の比重、氷点(凍結が始まる温度)、浸透圧のいずれかで表示される。MMJでは、氷点の検査を行っている。

(注3)組合職員と聞いているが、確認はしていない

(注4)埼玉県に二つある酪農組合のうちのひとつの検査結果表(マーク部分が基準以下)

(注5) J-milk https://www.j-milk.jp/